今さら聞けない基礎知識 〜プロモーション・広告・広報・販促・PR・SPの違いとは?〜(後編)

マーケティング

 

 

[toc]

 

 

マーケティングをはじめ、ビジネスの現場でよく使われる「プロモーション」「広告」「パブリシティ」「広報」「販促」「PR」「SP」などの意味や役割の違いについて、マーケティング・ミックス(4P)、プロモーション・ミックスの構成を元に解説しています。

前編はこちらをご覧ください。

今さら聞けない基礎知識 〜プロモーション・広告・広報・販促・PR・SPの違いとは?〜(前編)

 

PR(パブリック・リレーションズ)とは

 

前半の解説でパブリシティ(publicity)はPRの一種であると説明しましたが、ではPRとは何でしょうか?

PRという言葉は日本において「自己PR」という言葉が浸透しているため「PR=アピールする、宣伝する」といった意味でも使われ、広告、宣伝、販売促進(プロモーション)などの言葉とも混同されていますが、これはPR本来の定義からすると間違った認識になります。

PRとはPublic Relations(パブリック・リレーションズ)の略で、直訳すると「社会との関係」であり、PR本来の定義は「組織を取り巻く様々な利害関係者(ステークホルダー)と良好な関係を築くためのコミュニケーション活動」と示されています。

この利害関係者(ステークホルダー)とは、企業の関係者、例えば、消費者、従業員、取引先、株主、投資家、行政機関、金融機関、地域住民、メディア、政府などです。

では良好な関係を築くためのコミュニケーション活動とはどのようなものでしょうか?

企業によってPR活動の業務の範囲は異なりますが、アメリカの経営学者でマーケティング界の第一人者「フィリップ・コトラー」の著書によるとPR部門が果たす5つの機能は下記の5つとなっています。

 

【PR部門が果たす5つの機能】

1.報道対策 … 企業を良く見せる形でニュースや情報を公表すること
2.製品パブリシティ… 特定製品のパブリシティ(メディアの媒体などに自社の情報を報道してもらうこと)を支援すること
3.コーポレート・コミュニケーション … コミュニケーションを通じて企業への理解を促進すること
4.ロビー活動 … 法規制の影響を狙って議員や官僚との関係を維持すること
5.コンサルティング … 社会との問題や企業のポジションやイメージに関して経営陣にアドバイスすること

参考文献:「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」

 

【主な企業PR活動】 

● 企業のブランディング、市場調査、分析、PR戦略を立案・実行
● 活動報告、経営方針や財務状況などの告知
● メディアの取材対応、情報提供(プレスリリース)
● 会社案内、企業広報誌、社内報などの作成
● イベントの企画・運営
●社会貢献活動など

※業務の範囲は企業によって異なります。

つまりPRとは企業の存在価値や信頼獲得なども考えられた活動を指しますが、中小企業にはPRや広報部門が設置されていない場合も多く、認知度が低いかもしれません。
また、このうち情報発信をするパブリシティ(広報)は本来PRの一部ですが、日本ではパブリシティ(広報)とPRが同じ職種とされる場合もあり、こちらも一般の認識が少し異なります。
詳しくは下記の「広報とは」の項目で解説します。

 

広報とは

 

広報とは、本来は先述のPublic Relations(パブリック・リレーションズ)の日本語訳ですが、日本では「広報・PR」や「広報PR」と表記されている場合があり、同じ職種ではないのかと疑問に思う方もいるでしょう。

このように使う「広報」は文字通り「広く報じること」= Publicity(パブリシティ)の日本語訳として、自社の情報をメディアに発信し、内容を取り上げて報道してもらえるよう働きかける活動を指していることが多いです。

現代の日本において「広報」とは、パブリシティまたはパブリック・リレーションズのどちらかの活動または職種を指し、下記の2通りの認識があるようです。

●広報とPRは同じ意味合い
 どちらも「組織を取り巻く関係者と良好な関係を築くための活動」を示す

●広報とPRは異なる意味合い
 広報は「関係者などに広く一方的に情報を発信する活動」、
 PRは「関係者との良好な関係構築のための双方向のコミュニケーション活動」を示す

 
【主な企業広報活動】 

● 社外広報 … メディアへの情報発信、取材などを通してメディア関係者と良好な関係を構築する
● 社外広報 … 組織内の情報発信、経営方針の浸透、組織の活性化、社員のコミュニケーションを強化する
● IR広報 … 株主や投資家への情報共有、財務報告を行う
● 危機管理広報 …クレーム、製品リコール、不祥事、災害などが発生した際に迅速に対処する

※業務の範囲は企業によって異なります。

また、これからの時代はPRや広報部門でCSR(企業の社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)などの役割を担うことも多くなっていくでしょう。

 

販売促進(セールスプロモーション・SP)とは

販売促進とは、英語でSales Promotion(セールスプロモーション)で消費者の購買意欲を高め、直接的に商品の購入やサービスの利用を促す活動で、略して「販促」「SP」とも表記されます。

一般的にプロモーション=販売促進(セールスプロモーション)と捉えられることが多いですが、これは狭義の意味になり、本来は大きく4つに分類されたプロモーション活動のひとつになります(前半の「プロモーション・ミックスとは」参照)。

 

【主な販売促進活動】 

● 販促物(チラシ・パンフレット・DM・ノベルティグッズなど)の配布
● 売り場のPOP(店内装飾)、試食などのイベント、キャンペーンなどの実施
● 値引き・キャッシュバック、サンプル・クーポン・景品などの配布
● 展示会、デモンストレーション、コンテストなどの実施

※販売促進活動はメーカー、流通業者、小売業者、消費者間での働きかけになり、誰が誰に対して行うかによって内容が異なります。

 

まとめ

以上、「プロモーション」「広告」「パブリシティ」「広報」「販促」「PR」「SP」などの用語について、マーケティング・ミックス(4P)、プロモーション・ミックスの構成とともに改めて解説いたしました。

それぞれの言葉の意味や役割についてしっかりと理解し、業務の中で大きな行き違いが生じないように、また今、自分は何を目的に活動しているのかを把握するためにも、参考にしていただければ幸いです。

ライター:PEANUTS

こちらもぜひご覧ください、

実は別物!「集客」と「販促」の違いとは? アイデアが欲しいなら〇〇に頼もう!


関連記事

トップ画像 | 景品表示法ってどんな法律?
マーケティング

景品表示法ってどんな法律? ~広告・商品パッケー…

マーケティング

景品表示法ってどんな法律? ~広告・商品パッケー…

マーケティング

SNS運用のよくある失敗と、意識するべきSIPS…

マーケティング

今さら聞けない基礎知識 〜プロモーション・広告…

TOP