よく耳にする「ティザー」とは?マーケティング志向の時代のプロモーション

マーケティング

 

 

 

 

最近、YouTubeで動画を見ていると出てくる「Teaser Movie(ティザームービー)」。
アーティストのアルバムやゲームの紹介動画など様々な形で見る機会のあるこの名前ですが、実際はどのようなものなのでしょうか。

 

1.ティザーとは

Teaser(ティザー)は日本語で「焦らす」という意味の単語です。
マーケティングで扱われる際は、情報を一度に開示せず少しずつ公開することで顧客の好奇心を煽る用途で用いられます。
つまりYouTube等で見られるティザームービーは商品などの情報を小出しにしている動画という事です。
ティザーの形式はサイトや広告などでも用いられ(ティザー広告)、「○月○日(○)○○時公開!」といったカウントダウンや、「商品のキャッチコピーのみ」といった少ない情報で構成されるものがほとんどです。
有名なところで言うと、appleの新商品などはティザーサイトとしてわかりやすい例となっています。商品の外観の一部とキャッチフレーズのみといったシンプルな情報で、詳細を知りたいユーザーを引き込むのです。

apple iPhone12 Pro 製品紹介サイト

その根本は「顧客の想像を掻き立て、継続的に興味を持って貰うこと」であり、こちらから多くの情報を発信するというものとは異なります。
現在、このティザーのようなユーザー自身が情報を集める所謂「プル型(引き)」の施策が注目を浴びています。

 

2.マーケティング・コンセプトについて

何故、今「プル型」の施策が注目を集めているのか。
それはマーケティング・コンセプトと言われる商品販売の志向の変化が由来となっています。
マーケティング・コンセプトは時代の変化に応じて変化しており、過去から現在までの遷移は「生産志向」「製品志向」「販売志向」「マーケティング志向」と4つの志向で分類されています。

(a)生産志向

生産志向とは需要が供給をした回っていた時代のコンセプトです。多くの需要により「作れば売れる」という時代の考え方でした。

(b)製品志向

供給が需要にある程度落ちつき、行き渡った後のコンセプトです。他の商品とは違う「安く・高品質な物であれば売れる」という考え方です。

(c)販売志向

供給が需要を上回り生じたコンセプトです。顧客のニーズを満たすような商品の性能や強みをアピールした「販売方法を工夫(注力)すれば売れる」という考え方です。

(b)マーケティング志向

商品や方法等が溢れかえった後のコンセプトです。今までの「作る」→「ニーズを満たすようアピール」ではなく、「顧客のニーズを満たす商品を作る」という考え方です。
このような時代に応じた4つの志向がある中で、2021年現在はマーケティング志向で取り組もうと試みる企業が多くあります。
データの解析等が苦手であったり、職人気質な企業は製品志向や販売志向の場合もありますが、生産志向をまだ持っている企業様は少ないのではないでしょうか。

そして、この4つの志向においてマーケティング志向が他のものと全く異なる志向であるという点として、「顧客」がベースとなっていることが挙げられます。
商品をどう届けるかではなく顧客が欲しがっている物は何なのかを分析するところから始まるマーケティング志向は、顧客の存在を意識したコンセプトなのです。

 

3.何故ティザーなのか?

 

マーケティングコンセプトをご説明した上で、何故ティザーなのか?という疑問が生じることと思います。
あくまでティザーは広告であれサイトであれ、情報公開の仕組みなので「届け方」という意味では販売志向に近いのでは?という捉え方が可能ですが、
ティザーこそマーケティング志向を行うに最適な情報公開の仕組みなのです。
それは、ティザーは断片的にでも「顧客を惹きつける情報」を公開する必要があるからです。
ティザーが「難しい」と言われる理由は、断片的な情報のみで顧客の興味関心を引いてサイトまで訪問するのかという疑念から生じています。

そしてそれを解決するものこそ「ニーズを満たす商品を作る」マーケティング志向なのです。
顧客はそもそもニーズがあることから、断片的な情報からでもそれに対して興味を抱きます。そして、その広告をクリック(=サイトへ訪問)という行動を起こします。
本来であれば難しいティザーの運用を、マーケティング志向に基づく商品・サービス開発によって簡単にすることが可能になるのです。

 

4.でもまだ不安が残るティザー

 

こんな言い方をすれば怒られるかも知れませんが、昔から商品のプロモーションに携わっていた機会の多い人ほどティザーでプロモーションを行うことに不安を抱きます。そしてそれは「商品の良さを訴求せずに購入等の行動を起こしてくれるのかわからない」という思いから生じています。

実際、ディスプレイ広告において未だに折り込みチラシの様な価格と強みが強調されている広告も多く拝見します。
これが悪いというわけではありませんが、特にデジタル媒体においてプロモーションを行うにあたって、ユーザーは「企業からの広告」の様な形の情報提供を嫌う傾向にあります。

あくまで自然に情報を届けるネイティブ広告が流行している現状からしても、自然に情報を発信してユーザーの興味をひくような制作物こそこれからのプロモーションにおいて必要とされているのです。
商品の良さを一方的に伝える既存のプッシュ型のプロモーションではなく、ユーザーの自発的な行動を促すプル型の施策の方が企業のブランドイメージ等の保持にも繋がります。

 

5.まとめ

プル型のプロモーション施策である「ティザー」についてご紹介させていただきました。
インターネット広告やLP・ECサイトなどにおいて様々応用が可能な施策です。
情報を小出しにすることでユーザーや顧客の継続的な興味を駆り立て、話題にしたりとSNSとも相性の良い「ティザー」。
顧客自身の行動が大切なこれからこそ必要となるこれらの取り組みを、一度試してみてはいかがでしょうか。

 

ライター:うまのお肉


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