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現在、メディアやインターネット、SNSの普及により、現代人が接する情報量は過去10年で530倍になったと言われています。
私たちが1日に接する情報量は、平安時代の人達の一生分、江戸時代の人達の一年分、という例えも話題になりました。
仕事においても、多くの情報を集めることは簡単になりました。
しかし、集めた情報をわかりやすく整理してアウトプットする場合は、自分で考えなければいけないので、頭を悩ませることもあるのではないでしょうか?
例えば、営業資料がいまひとつ伝わりづらかったり、コンペの提案資料が数字ばかりになってしまったりという経験は誰しもあるのではないでしょうか?
情報をわかりやすくするには、文字や数字ばかりを並べるのではなく、必要な要素を図形化することがポイントです。
本日は、多くの情報を整理し、分かりやすく伝えるために、デザインの分野で意識的に活用されている「インフォグラフィックス」と呼ばれる表現技法についてご紹介します。
インフォグラフィックスとは
インフォグラフィックス(infographics)とは、情報(Infomation)+図形(Graphics)という意味の造語で、簡単に言うと、多くの情報を図形化し、視覚的にシンプルにわかりやすくまとめた表現になります。
一見、難しい手法なのかと想像しますが、インフォグラフィックスが最初に描かれたのは原始時代の洞窟壁画という記録があり、その後、1963年に国際的な視覚言語として機能するピクトグラムが提唱されてます。
私たちが日常で目にするグラフや図表、公共の道路標識、地図などもインフォグラフィックスに含まれますので、昔から身近にある視覚的表現なのです。
また、必要な情報をイラスト化したり、デザイン的な要素を加えたものはパンフレットやポスター、WEBサイトなどのグラフィックデザインにも用いられ、企業や施設、サービスの紹介、商品のプロモーション等にも活用されています。
インフォグラフィックスの種類
インフォグラフィックスには、下記のような種類があります。
周知のものもありますが、いずれも必要な情報を図やイラストで示すことにより、より見やすく、理解しやすくしています。
グラフや図表
棒グラフや円グラフ、表など数値を読み取る図。
出版物、会議資料、テレビやインターネットなど、多くの媒体で活用されています。
ピクトグラム
ピクトグラムは様々な情報・人の行動・注意事項などを、文字を使わず単純な絵で示すサイン(視覚記号)です。トイレや非常口のマーク、道路の標識などが一例です。
フローチャート
フローチャートは業務やシステムなどのフロー(工程)を、長方形や楕円形、ひし形などで示し、それらの図形の間を矢印でつなげて表現した図です。
地図
地図には電車の路線図なども含まれます。位置関係を文章だけで説明するのは困難ですが、図にすることで全体を瞬時にわかりやすく把握できます。
相関図
相関図は複数の人や物の関係を表した図です。
ビジネスでは組織や製品の関係性を示し、人物の相関図は、物語やテレビドラマなどで登場する人物の紹介等に用いられています。
年表
歴史上の出来事を年代の順に記載した表です。出版物や教育現場の教科書で使用されています。
インフォグラフィックスの特徴
インフォグラフィックスには以下のような特徴があります。
- 多くの情報をわかりやすく伝えられる
- 活用できる場面が多い
- 言葉が通じなくても伝わる
- デザインやイラストレーションの要素が多いものは視覚的に楽しめる
- 興味を引くものはSNSでも拡散される
現在は、言語が異なる外国の方に伝わるものや、国内でも多くの情報を見ているインターネットユーザーに興味を持ってもらえるものが多く制作されています。
また、いかにSNSで共有されるかも考えられているでしょう。
インフォグラフィックスの制作について
制作には「情報収集力」「分析力」「編集・デザイン力」などが必要です。
何を伝えるか整理することはもちろんですが、構成も決めておかなければ試行錯誤してとても時間がかかりますので、制作手順は下記の流れで進めていきましょう。
- テーマの設定
- 情報収集
- 情報分析・整理
- 図解化・イラスト化する部分の決定
- 全体構成(レイアウト)、配色の決定
- 素材(グラフ・ピクトグラム・アイコン・イラスト等)の制作
- 全体のビジュアル制作
4)、7)の図解化する部分や全体構成を考える際は手書きでラフを書くことをおすすめします。
また制作ツールは、広告物などは主にAdobe Illustratorなどのグラフィックデザインソフトで制作されています。
簡易な資料などはMicrosoft Word、PowerPoint、Keynoteでも制作できますし、テンプレートが用意されているインフォグラフィックス制作サイトもあります。
ピクトグラムやアイコン、イラストなどもフリー素材を活用できるでしょう。
しかし、オリジナルデザインで制作する必要があったり、グラフィックデザインの要素が多い場合は、未経験者が制作することは難しいです。専門のイラストレーターやデザイナー、制作会社に依頼するのが良いでしょう。
まとめ:資料の「ここぞ」にインフォグラフィックスを!
デザイナーの私は「数字で見る〇〇」「今ドキの〇〇事情/〇〇比較」というテーマで、かわいいイラストやデザインと共に情報を公開しているインフォグラフィックスが好きで、内容だけでなく、デザイン的にもこんな表現もできるのかと楽しんで見ています。
Pinterestなどで様々な事例を見ることは、どの媒体に対してもアイディアの引き出しを増やすことに役立ちます。
グラフィックデザインは難易度が高く感じますが、資料作りで簡単なグラフや表組にまとめるだけでも、わかりやすくなったと言われれば嬉しいものです。
最近はオンライン商談も増え、いかに伝わりやすい資料か? が重要視されるようになってきました。ここは特に推したい! というポイントだけでもインフォグラフィックスを入れてみると伝わりやすさが格段に上がりますよ。ここぞというときの資料は、「伝わる」を生み出すプロのデザイナーに依頼してみてはいかがでしょうか?
ライター:PEANUT