デザイン制作を依頼する際に「イメージ通りのデザインが上がってこなかった…」そんな経験はありませんか?
デザインには言語化しづらい部分も多く、正確に頭の中のイメージを伝えることは困難です。
依頼側の微妙な表現方法や、制作側の受け取り方の違いで全然違うものになってしまうこともチラホラ。
そういった行き違いを修正しようとする為、どうしてもデザイン案件に関しては校数が増えがちになってしまいます。
今回はそんな校数を増やさず、それでいて正確なイメージを伝える為の「依頼のポイント3点」をお教えします。
1.案件の全体概要の共有を行う
意外と忘れがちな案件の全体概要の共有は、イメージのミスマッチを防ぐ為の基本中の基本です。
制作の目的や案件の背景の他にもターゲット、公開場所(媒体)、時間など「作る前」から「作った後」についての情報の共有を行います。
このような前提となる情報と展望の情報は、デザインの構成に当たっては非常に重要です。
ターゲットとなる年代・性別からはウケる配色やデザインが変わりますし、公開場所からはテキストの表現方法などが変わります。
デザイナーは「どういう理由で何を伝えたいのか」を発信側の視点で考え、「それがどう見られるか」という受け手側の視点でデザインとして組み立てます。
色・レイアウト・フォントなど一つ一つの要素に意味を持たせる為には「何の為のデザインか」を明確にして伝える必要があるのです。
案件の全体概要を伝えることが出来ていれば、それを汲み取り最適な表現・伝達を可能にするデザイナー視点での逆提案を行って貰うことも可能になります。
より受け手側の視点に立ち、最適化されたデザインを上げるには基本が肝心になってくるのです。
2.イメージの方向性を固める
よくある失敗として「抽象的な言葉によるイメージのミスマッチ」があります。
「楽しい感じ」「かわいい感じ」という言葉だけで共有してしまうことによる認識のズレがこれに該当します。
例えば下の図はどちらも「カッコいい感じの画像を探して」と2人の異なるデザイナーに頼んで探してきてもらった画像です。
どちらも「カッコいい」ではありますが、方向性がまるで違います。
言葉に含まれる意味というのは非常に多く、株式会社日本カラー研究所が発表している言語イメージスケールでは
「クール」や「ナチュラル」といった言葉の中に非常に多くの意味の言葉が格納されていることがわかります。
では、どのようにすればイメージを伝えることが出来るのか。
一番早いのは「デザインイメージ資料の共有」です。
百聞は一見に如かず、という言葉が表す通り「このチラシやWEBサイトのようなイメージで」という実物でのイメージの共有は幾度とない口頭での打ち合わせに勝ります。
他にも、同じく株式会社日本カラー研究所が公開している配色イメージスケールの様な色の組み合わせからイメージを指定する場合もあります。
大事なのは様々な捉え方の出来る言葉ではなく、視覚情報での共有を行う事です。
ただし、デザイナーに案件の全体概要を伝えた上で提案を求めているのにも関わらず、参考イメージを求めてくる場合もあります。
こういった場合は「考えて生み出す/作り出す」ことが出来るデザイナーが少ない(いない)可能性があるので注意が必要です。
画像引用元:株式会社日本カラー研究所 http://www.ncd-ri.co.jp/about/image_system/imagescale.html
3.ラフを用意する
基本的に1と2が出来ていれば大丈夫ですが、より詳しいイメージの共有を行いたい時にラフを用意します。
ラフの書き方に関しては以前の記事にて解説しています。
ラフに関して言えば、必ずしもすべての文字や配置等を記載する必要はありません。
手書き、Excel、PowerPointなど形式は問いませんが「この制作物で何を伝えたいか」「一番大事な情報はどれか」といった優先度の高い情報があれば、それを基にデザイナーが意図を汲み取りデザインを行います。
ラフの制作に関しては、デザイン案件で「ディレクション費」と言わせるデザイン面での制作進行費用が発生する要因でもあるので、イメージのミスマッチの防止以外にも費用の削減にも繋がります。
まとめ
以上デザインのミスマッチを防ぐ為の3つのポイントについてご説明させていただきました。
デザイナーの仕事は、依頼主からの情報を「伝わりやすく」「わかりやすい」視覚情報に変換・表現することです。
案件概要といった言語情報とデザインイメージといった非言語情報を伝えることは、制作側の理解度の向上に大きく貢献します。
本来、イメージのミスマッチは依頼側・制作側の互いが不幸になる状態です。
何度も打ち合わせを重ねてイメージを擦り合わせるよりも、これらのポイントを押さえた一回の打ち合わせをすることでその後の校数などが大きく変化します。
より伝わる効果的なデザインを作り上げる為に、これらのポイントを意識してみてはいかがでしょうか。
ライター:まろ