皆さんはブランドと言われるとどういうものをイメージするでしょうか? シャネルやルイヴィトンなどのファッションブランド? ベンツやロールスロイスといった高級車?
いえいえ、ブランドとはどんな商品・サービスにも存在するものです。今回は、ブランドとは何か? そしてブランディングとはどういうものか? 私の好きな大分むぎ焼酎二階堂のCMを一例にご説明したいと思います。
そもそもブランドとは?
なんとなくイメージでしかないブランドと言う言葉。
今回ズバリ定義してしまうと、ブランドとは、「消費者が特定のサービス・商品に感じる価値」です。もっと言えば、「他の類似サービス・商品との差別化ポイント」とも言えるでしょう。
つまりブランディングとは
ブランドが「他の類似商品との差別化ポイント」とするなら、ブランディングはどういうことを指すのでしょう? ざっくりとしていますが、「自分を選ばせるための工夫」全てです。
たとえば商品ネットショッピングを利用するときにAmazonを使う、パソコンを購入する際にiMacを買う。そこにはブランドに対する愛着ですとか性能への信頼といったいろいろな要素が絡み合って要ると思います。
消費者が他の競合サービス・商品を選ばずに自社サービス・商品を欄でくれるようにすること。平たく言えばそのために尽くす手法がブランディングです。
今回は大分むぎ焼酎 二階堂様のCMと私の実体験をもとにブランディングの一例を見てみましょう。
はじまりはCMでした
突然ですが大分むぎ焼酎二階堂のCMをご存知でしょうか? 私はあのCMが好きで広告業界を目指したと言っても過言ではないほどの大ファンです。
思えば、守れない約束ばかりだった。
会いたい人と会えない人。
風の便りは、いつも風向き次第。
どうか、タイムマシンが発明されませんように。
目を閉じるだけで、十分です。
私はむぎ100%。大分むぎ焼酎 二階堂
https://nikaido-shuzo.co.jp/library/cm2011_2.html
郷愁漂う九州の風景とともに紡がれる言葉が、切なくて、心地よくて。このシリーズのCMはどれも食い入るように見ていたのを覚えています。ただその頃はお酒の味なんて知らない中学生でしたので、ただただいいCMだなと思っていました。
月日は流れて、私は‘いい大人’になっていました。
中堅と言われる世代になり、仕事が思うように進まなくなった時期。残業と飲み歩きが板についてきた頃です。その日も、終わりそうにない仕事を無理やり一区切りと自分に言い聞かせて会社を出て、近所のおでん屋さんにひとり入店しました。しかし仕事のことで頭が一杯で、入店したのに注文していないことにもしばらく気づいていませんでした。
「ご注文は」
店員のおばちゃんのぶっきらぼうな声に、慌ててメニューを手に取ります。とりあえず飲み物は、と。見慣れない名前ばかりが並んでいるお品書きを眺め、ちょっと迷って。
「二階堂の水割りください」
私は、このとき初めて二階堂を飲みました。飲んで、ああと納得しました。芋焼酎じゃ、甘すぎる。日本酒じゃ、辛すぎる。懐古とか焦燥とか、わずかばかりの後悔とか、そんな気持ちに寄り添うには、人生の辛酸を押し流すようなほんのり甘くて、静かな味わいのこの二階堂がぴったりなのだと。私は二階堂の本当のファンになりました。
すなわちブランディングとは
うら寂しい感情や後悔の念といった、誰しもが人生のどこかで感じるだろう瞬間に共感するCMを放映しつづけたからこそ、二階堂のブランドは人の心に深く刻み込まれた。もちろんこれはあくまでCMを見ていた一消費者としての視点ですので、制作者の本当の意図はわかりませんが、感傷的な私の心が二階堂のあのCMのなんとも言えない物悲しさを喚起して二階堂を選んだ、というのは過言ではないでしょう。
さらに二階堂のCMは地元大分近辺でロケがされているということもあり、地元の人に愛されるような狙いもあるのではないでしょうか。私は関東の人間でしたが、九州の人が見るとまた違った印象を受けるのかも知れません。
超大量消費社会で生き残るために
超消費社会で、めまぐるしく商品が生まれては消えていく世の中、生き残るのは、こうした息の長いブランディングを成功させたものだけではないでしょうか。
ライター:おまけ
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