もうすでに騒動は落ち着いた2021年4月1日の「総額表示問題」
もともと、2004年4月に総額表示が義務化されていましたが、2014年の5%から8%の増税のため、特別措置法が2013年から施行されていました。
そのため今までは「本体価格」のみの表示や「+税」といった記述が許されていたんですね。
それがこの4月で失効、再び総額を表示しなくてはいけなくなりました。正確には総額表示 再 義務化と言えますね。
そんな増税や、その他物価の高騰などで値上げを余儀なくされることは往々にしてあります。そんなとき、顧客離れを防ぐにはどうしたらいいのか? 今回は増税のタイミングで施策に成功した「値下げ」と「値上げ」2つの事例をご紹介したいと思います。
増税はチャンス? ユニクロ・GUの事例
この総額表示(再)義務化のタイミングに「実質値下げ」というワードが沸騰しました。ユニクロ・GUが、本体価格をそのまま総額としたことで、実質約9%の値下げになったというニュースです。
これは企業としては非常に大きな決断だったと思いますが、結果論的に言えばひとつのプロモーションと考えれば非常に有効だったと言えます。
たとえ実際支払っている金額は変わらずとも、値札の金額が増えれば消費者心理としては購買にブレーキが掛かるもの。実質値下げをすることで、増税後の悪影響を抑えることが出来ます。
もちろん、その後の来客数や客単価の向上が見込めなければ減収となりますが、値下げをすることで「良い品をより安く」といった企業の姿勢を示すことも出来、イメージアップにも繋がります。成功事例のひとつと言えるのではないでしょうか。
もちろんこんな大々的な値下げは、大手企業にしか出来ないいわば力技。本音は適度に値上げしつつ、顧客離れを防ぎたいものですよね。
値上がりしたのに解約「しそこねた」? タイムズカーシェアの事例
次は私が経験した事例です。
数年前からタイムズカーシェアを利用しています。最初の頃はペーパードライバーにならないようにと毎月乗るようにしていたのですが、最近では2~3ヶ月に1度利用する程度。
増税前のタイムズカーの料金システムは以下のようになっていました。
タイムズカーシェア料金(※ 2019年9月以前) | |
月額基本料金 | 1,030円 |
時間料金 | 206円/15分 |
月額基本料金は実質無料という謳い文句の通り、毎月月額料金内で75分は利用することが出来ます。ただ、繰越はできず、乗らなくても月額基本料金は発生します。
そんなに頻繁に利用しないし、増税のタイミングで料金が上がるのであれば解約しようかな~とぼんやり考えていました。
2019年8月に来た料金改定の連絡を見ると、
月額基本料金を880円に値下げします。
とありました。
え? 下がるの? と驚いたのを覚えています。
からくりとしては、毎月基本料金内で使える無料利用時間が75分から60分に短縮され、それまで2つに別れていた車種クラスに「ミドル」が追加され、車種によっては時間料金が値上がりしました。
さらにちゃんと計算すると15分206円(税抜191円)だったのが、増税で220円(税抜200円)になり、増税抜きでも9円値上がりしています。
しかし、値下がりするなら……と、解約は見送ってしまいました。我ながら単純ですが……。
サブスクリプションサービスは、第一に「継続利用してもらう」ことが重要です。
普段から利用している人はともかく、一定数いるであろうたまに利用するために契約しているけれど毎月利用しているわけではない層は、増税・値上がりのタイミングで「あんまり使わないからいいか」と解約することが想定されます。
そこで月額料金を下げてでも、そうした大幅な利用者減少を防ぐために考えられた料金改定だったのだと思います。
その他色々と細かい料金やシステムの改定がありましたが、基本的にタイムズカーシェアの最大のメリットである6時間未満のショート利用のお得さを損なわなかったので、結果私も例にもれずそのまま利用を続けています。
まずはサービスの立ち位置を見極めて
タイムズカーシェアの事例を見て分かるように、消費者心理を見極めたサービスの改善には、まず「自社サービスのストロングポイントはどこなのか」「利用者は何を求めているのか」を把握する必要があります。
それが理解できていなければ、消費者心理を見誤る危険性があります。
消費者心理は提供しているサービスの内容や価格帯によってもまちまちですので、サービスが提供している価値を離開した上で、消費者が何を求めているかを見極めることが重要です。
ライター:おまけ
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