そもそも商標って?
特定の商品・サービス・会社・ブランドなどが他のものと区別するために用いる名前やマークのこと。
例えば「シーチキン」ははごろもフーズの登録商標(一般的には“ツナ”と呼ぶ)ですし、「ウォシュレット」はTOTOの登録商標(一般的には“温水洗浄便座”と呼ぶ)。
「宅急便」はヤマトホールディングスの登録商標(一般的には“宅配便”と呼ぶ)だったりします。
これらの商標は「文字商標」ですが、他にもロゴ商標や立体商標などもあります。
例えば・・・
【登録番号】第1517133号
【権利者】ナイキ インターナショナル リミテッド
このロゴを見れば誰でも「あのナイキだ!」と分かりますよね。
立体商標で有名なのは・・・
【登録番号】第5384525号
【権利者】株式会社ヤクルト本社
実はヤクルトの容器も商標登録されています。
簡単にいえば、その名前・もの・形を見れば「あれだ!」とみんなが認識できるものが「商標」ということですね。
そしてこれらの商標を特許庁に出願・登録することを「商標登録」といいます。
メリット① 独占して使用できる
では、商標登録するメリットを見ていきましょう。
まずは何といっても独占できることです!競合他社が似た商標の商品やサービスを展開しようものなら堂々と差し止めることができますし、それで利益を得ていた場合は損害賠償を請求することだってできます。
ただし、全然畑違いのものであればその効力は及びませんのであしからず。
登録の際にはその商標の“区分”も一緒に登録するので、例えば化粧品の区分で登録している「C-Room」という文字商標があったとして、他者が家具で「C-Room」という名前を使っても商標侵害にはなりません。
なので将来的に進出しそうな分野があれば、そのすべての区分で登録することが望ましいですね。
メリット② 他者の登録を防ぐ
例えば昔からずっと「ガッツリコロッケ」という名前のコロッケを製造販売しているとします。しかし、誰かがその名前で商標登録してしまうとその時点でその商品名は使えなくなってしまいます。商標登録は早い者勝ちなので、誰が元祖とかは関係ないんです。知らずに使い続けていて訴えられる・・なんて危険性を回避するためにも商標登録は早めに行うのが良さそうですね!
メリット③ お金になる!?
もし自らが登録した商標を他人が使用したいとなった場合には、ライセンスを結びライセンス料を支払ってもらうことになります。
愛知県にある「アイホン株式会社」は、1955年に「アイホン」を「第9類 電信機、電話機」で商標登録していたため、「iPhone」を日本で販売したいアップル社から年間推定1億円のライセンス料を受け取っているという話もあります!
また商標権は譲渡することもできるので、もしその商標に価値がついたらそれを売買することもできます。
じゃあ売れている名前でまだ商標登録されてないものを先に登録したら儲かるんじゃないの!?と思ったアナタ。
以前ピコ太郎の「PPAP」を無関係な大阪の企業が商標出願したことが話題になりましたよね。こういった商標ブローカーは、初期費用はかかるし世間からの風当たりもキツくなるし儲からないのでおすすめしませんよ。
デメリットはあるの?
ここまでメリットについて触れてきましたが、もちろんデメリットもあります。
それはズバリ、費用!
出願料と登録料、それに弁理士に依頼する際の手数料で最低でも10万円以上はかかります。これを高いととるか、安いととるかは人それぞれですが、たくさんの区分で登録すればそれだけ費用もかさみます。また10年で登録が切れるので、更新するには更新料もかかります。
出願してもすでに類似した商標があれば拒絶されることもありますので、その際は出願料が無駄になる可能性もあります。
費用以外の部分だと、商標を登録したあかつきには、登録商標であることを分かりやすい形でアピールすることを法律で義務付けられています。商標を一定期間使用していない場合、不使用取消審判という手続きにより登録が取り消される可能性もあります。
登録したはいいけど、実は2年ほどでそのサービス終わっちゃったんだよね・・なんてことになると、初期費用だけかかって終わることにもなりかねません。
他にも模倣や無断使用に対しても常に目を光らせチェックするという手間も増えます。
最後に
「あの商品だから使いたい」「あの会社のものだから信用できる」と思ってもらうためには、類似物や粗悪品からその商標を守ることも必要です。
デメリットも少なからずあるものの、商標登録することで得られるのがその人もしくは企業の「世間からの信頼」だと考えれば高くはない買い物かもしれませんね。
文字商標・ロゴ商標・立体商標について説明しましたが、実は近年「音」「色」「動き」「ホログラム」「位置」も商標登録できるようになりました。
世界的には「味」「触感」「香り」を商標登録できる国もあり、今後は日本もますます幅が広がっていくかもしれませんね。
ライター:セイマサ