デザイナーとしての県民性

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地域による人の違い=「県民性」

「県民性」という言葉。普段あまり気にしなくても、時々その違いを意識することはありませんか?
例えば、出張先のお客様の考え方が地元のクライアントと微妙に異なっていたり、転勤してきた同僚との会話のなかでちょっとした違和感を覚えたり…。
これらを細かく分析していけば非常に興味深いことが多く、例えば「愛知県民」は堅実で見栄っ張り、「福岡県民」は派手好きで開放的であるとか、それらを面白く実証するようなテレビ番組や雑誌記事なども多く存在します。では、その違いとはどこから生じるものなのでしょうか。

先に書いた「愛知県人」。
特に名古屋に関しては尾張藩が勤倹貯蓄を奨励した歴史から保守的でケチ、実利性に富んでいるのが特徴で、他人を信用しないので、貯め込んだお金も自宅で保管する人が多数いるのだとか。

また「福岡県民」に関しては、大和朝廷時代から大陸への玄関口として栄えたため、異文化の影響からか、開放的で派手好き、祭り好きの賑やかな性格の人が多いらしい。

両県民のすべての人たちがそうであるとは思いませんが、私の周りの人のなかに当てはまる人、確かにいてます…。では、私が身を置く紙媒体の「デザイン」の世界では、「県民性」と同じく、地域による違いというものが存在するのでしょうか。

 

地域によるデザインの「違い」は存在するのか?

答えは「存在する」です。
ここでいう「地域による違い」とはデザイナー個人の「県民性」が反映されるというよりは、「県民性」が生まれた背景と同様、その地域の置かれている状況に左右される場合が多いものを指します。
その「違い」、営業力があり、ある程度人数を抱えるデザイン事務所であれば、例えば東京であろうが、大阪であろうが、あまり差はありません。
大きく「違い」が出るのは、個人で仕事を請け負っているデザイナーの制作物においてです。では、その「違い」が生じる要因とはなんでしょう?

 

「違い」が生じる要因とは?

東京と大阪の「違い」を考える場合、その要因は、ひとえに受注できる仕事の量の違いです。
両都市で比較した場合、圧倒的に東京の方が仕事量は多いです。
例えば、東京では、流通関係のチラシを専門に請け負っても媒体数が多いことや元々の制作単価が高いこともあり、それだけで十分生計を立てていくことができます。
よって、その分野に専従でき、さらに専門性を突き詰めていくことができるのです。

一方、大阪では、それだけでは仕事としての量を保つことができず「食べていけない」ので、例えば食品スーパーのチラシも制作するが、子供服のリーフレットも作るし、旅行のパンフレットも受け持つ、といった具合に、依頼のあった仕事は可能な限り受けなければなりません。
当然受けた仕事は、クライアントの納得するものにしなければならないので、どのジャンルの仕事であっても一定のレベルにまで仕上げる「器用さ」が必要になってきます。
また、様々な分野の仕事を経験しているため、制作している業界の媒体には本来そぐわない他業界のテイストを加えて、新しく面白いデザインに仕上がる場合もあったりします。

 

デザイナーが身に着ける地域性

例として、東京と大阪の紙媒体の制作環境によるデザインの違いについて書きましたが、他府県においても同様のことが言えると思います。

ローカルな媒体であれば、当然その地域の人たちの「好み」のデザインをしなければなりません。
その場合意識して、その「県民性」に沿ったものに仕上げていく場合も多々あります。

ただ、その制作物の背景には、地域の風土や歴史、人々が本来持つ気質により育まれた、いわゆる「県民性」同様、その地域の環境や状況により知らず知らずのうちに身に着けていった、いわば「デザイナーとしての県民性」も含まれているのです。

 

※「愛知県人」「福岡県人」の「県民性」に関しては、PRESIDENT Online(https://president.jp/)より引用・要約

 

ペンネーム:肩ロース 改め トトロ大好きナカイさん


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